映画のメモ帳+α

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情婦

情婦 (1957 アメリカ)

情婦(1957)原題   WITNESS FOR THE PROSECUTION
監督   ビリー・ワイルダー
原作   アガサ・クリスティ 「検察側の証人」
脚色   ビリー・ワイルダー ハリー・カーニッツ
撮影   ラッセル・ハーラン
出演   タイロン・パワー マレーネ・ディートリッヒ チャールズ・ロートン
     エルザ・ランチェスター トリン・サッチャー ジョン・ウィリアムズ
     ヘンリー・ダニエル イアン・ウルフ ノーマ・ヴァーデン
     ウナ・オコナー ルタ・キルモニス

第30回(1957年)アカデミー賞作品、監督、主演男優(チャールズ・ロートン)、助演女優(エルザ・ランチェスター)、編集、録音賞ノミネート



金持ちの婦人を殺した罪に問われた青年レナードは、敏腕の老弁護士ロバーツに弁護を依頼。だが、法廷で彼の妻クリスティーヌは"検察側の証人"として登場。彼に不利な証言を連発する。アガサ・クリスティの戯曲「検察側の証人」の映画化。心臓病を患った老弁護士と口うるさい看護婦をチャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターの実夫婦が息ぴったりに演じるのが楽しい。物語の大筋は原作どおりだが、葉巻、眼鏡レンズの光など原作にない小物が物語を豊かに彩るのはさすがビリー・ワイルダー。ロートンの狸親父ぶりが圧巻。どんでん返しの連続で"未見の人に結末を話さないでください"のハシリのような作品。クリスティ原作映画の最高傑作!
☆☆☆☆
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 アガサ・クリスティは世界的な人気作家ゆえ、映画、TVドラマ...映像化作品は数あれど不思議なほど傑作が少なく、大半の作品は凡作、もしくは駄作に近い仕上がりとなっている。クリスティは一応、本格推理小説の作家。(反則すれすれといえるものも結構あるが...)彼女の作品はもともと映画向きではない。大半の作品は情報量の多い原作を整理するために登場人物を減らしたり、舞台設定を変えてみたり、どーでもいい恋愛を加えてみたりと中途半端な脚色をしてお茶を濁している。『情婦』は他のクリスティ原作映画とは一線を画す出来。計算の行き届いたビリー・ワイルダーの脚本は原作以上の魅力を醸し出している!(レナードと妻クリスティーヌのラブシーンはいらない、と思わなくもなかったが...)補聴器のエピソードとか、ラストの「ブランデーを忘れずに」こういうの、にくらしいほど上手い。本作の成功はビリー・ワイルダーの手腕はもちろんだが、元の原作(短編小説を戯曲化したもの)がシンプルという点も大きい。クリスティも本作の出来に満足していたという。

 本作のラストには以下のアナウンスが流れる。
"The management of this theatre suggests that for the greater entertainment of your friends who have not yet seen the picture, you will not divulge, to anyone, the secret of the ending of Witness for the Prosecution."

この映画をまだ見ていない友人の大きな楽しみを奪わないために、結末は(未見の人には)話さないでください

映画の宣伝用ポスターにもその旨("You'll talk about it, but please don't tell the ending.")は記載されている。
↓クリックで拡大します。
WITNESS FOR THE PROSECUTION poster

ネタバレを防ぐため、キャストにも撮影直前までラスト部分の脚本を渡さなかったという。
(これ、オリジナル脚本じゃなく原作は戯曲化されていたので既に知っていた人も結構いるのでは?)

 マレーネ・ディートリッヒは本作の演技でアカデミー主演女優賞にノミネートされると確信していたが候補漏れ。ディートリッヒはかなり落胆していたという。まあ、ディートリッヒって雰囲気の人で演技巧いって感じじゃないしね。本作もそう。ビリー・ワイルダーも「モデルみたいな人。世間で言われているほど良い女優ではない」と語っている。ただし、ディートリッヒの候補漏れは映画会社が『情婦』のネタバレ防止のため、ディートリッヒの演技に注目が集まらないように仕向けた(要は熱心にプッシュしなかった)ことが原因との説もある。

 それにしてもチャールズ・ロートン本当に巧い。ビリー・ワイルダーも絶賛しているし、彼の最高傑作のひとつだろう。脚線美を見せつけるクールなディートリッヒ、サイレント映画チックな演技のタイロン・パワーなど役者は皆好演。タイロン・パワーが演じた青年レナード、原作においてはもっと若くてチャラくて(今風にいうと"そう、スね"みたいなしゃべり方をするイメージ)単細胞な男。随分オッサンになりました。原作のイメージのほうがよかった気がするけど、映画はビジネス。スターが必要なんですね。

ところで(エルザ・ランチェスターと結婚しているが)実際は同性愛者であったチャールズ・ロートン。ビリー・ワイルダーは彼がタイロン・パワーに手を出さないかとひやひやしていたとか(^^:ロートンは心臓病の設定だが、本作後、ロートンではなくタイロン・パワーが心臓発作を起こし44歳の若さで急死。彼の遺作となったという皮肉。ちなみにディートリッヒもタイロン・パワーに色目を使い彼を当惑させていた。色男は大変ですね。

この子、かわいい
WITNESS FOR THE PROSECUTION1

だめ、私のモノ!
WITNESS FOR THE PROSECUTION3

勝ったわ
WITNESS FOR THE PROSECUTION2

<アガサ・クリスティ原作映画>
そして誰もいなくなった (1945)
姿なき殺人者 (1965)
そして誰もいなくなった (1974)
オリエント急行殺人事件 (1974)
ナイル殺人事件 (1978)
クリスタル殺人事件 (1980)
地中海殺人事件 (1982)
死海殺人事件 (1988)
アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵 (2005)
ゼロ時間の謎 (2007)
アガサ・クリスティー 奥さまは名探偵〜パディントン発4時50分〜  (2008)
華麗なるアリバイ (2008)
オリエント急行殺人事件 (2017)

 他にもありますが、さすがに全部取り上げるのは難しふございます。

<クリスティ失踪事件を扱った映画>
アガサ 愛の失踪事件(1979)

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2018.04.23 Monday | 00:04 | - | - | - |

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