映画のメモ帳+α

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クンドゥン

クンドゥン (1997 アメリカ)

クンドゥン(1997)原題   KUNDUN
監督   マーティン・スコセッシ
脚本   メリッサ・マシスン
撮影   ロジャー・ディーキンス
美術   ダンテ・フェレッティ
音楽   フィリップ・グラス
出演   テンジン・トゥタブ・ツァロン ギュルメ・テトン
     トゥルク・ジャムヤン・クンガ・テンジン テンチョー・ギャルポ

第70回(1997年)アカデミー賞撮影、音楽(オリジナルドラマ)、美術、衣装デザイン(カラー)賞ノミネート

チベット仏教の特色としてラマと呼ばれる高僧の存在がある。ラマを尊崇し、その教えはラマから弟子へと伝えられる。ラマが死ぬと、その生まれ変わりを幼児から探し出し、その地位を継承させる「活仏転生」という考え方があり、ダライ・ラマは観音菩薩(衆生の声を聞き,その求めに応じて救いの手をさしのべる慈愛と優しさの象徴)の生まれ変わりとみなされている。 マーティン・スコセッシ監督の映画『クンドぅン』はダライ・ラマ14世の半生を描いた作品。1937年、2歳で発見され、4歳で即位。成長しチベット独立をめぐって中国と争う中、固辞していた亡命を24歳でついに受け入れるまでをたどっています。



『クンドぅン』の撮影はモロッコで行われれ、ダライ・ラマが住むポタラ宮殿、家具、宝飾品などを創作する。それについてはダライ・ラマ本人のアドバイス(脚本についても)を受けているという。キャストはほとんどチベット人で占められ(さすがに毛沢東役は...)何百人もの亡命チベット人、チベット僧、時には1000人以上集められた。スコセッシは「あのチベット人の顔を見たら役者は使えなかった。その人の持っている者が大事だった」と語っている。素人を使ってのこの表情の撮り方はプロの称賛を浴びている。

自分を見出したレティング摂政が退任を申し入れたあと、現摂政のタクラの暗殺を企てたことを知るダライ・ラマ。
この時、僧侶が銃を持っていること、ポタラ宮殿内に牢獄があることを知り、
「私はもう子供ではない。すべてを報告せよ」と苛立ちを見せる。
ニュースフィルムや雑誌で第二次世界大戦の様子や広島の惨状を知り、心を痛めるダライ・ラマ。
中国で毛沢東が共産党政権をつくり、チベットは中国の領土であることを世界にアピールすると
ダライ・ラマの中に指導者としての自覚が芽生えてくる。
自ら北京に出向き、毛沢東の穏やかな語り口を信じそうになるダライ・ラマ。
だが、最後の会見で「宗教は毒です。人間を腐らせる阿片です」この言葉で彼の真意を悟る。

チベットの独立がおびやかされている。ダライ・ラマが国を離れるかもしれないという憶測が流れれば
「どうか行かないでください」とせがまれ、彼の命が狙われているとなればチベットの民衆は彼を守ろうとポタイ城を取り囲む。

「あなたの命が失われれば本当にチベットは終わりです。インドに逃げてください」
という側近からの忠告を拒み続けたダライ・ラマもとうとう受け入れざるを得なくなる状況に追い込まれる。

ラスト、インドの国境検問所にたどりついたダライ・ラマ
インドのの国境警備兵から「敬意をこめてお伺いします。あなたは誰ですか?」と問われ
「私はただの男、仏に仕える一介の僧侶、」
「あなたは仏様なのですか?」
私は月の影だ。水面に写る月の影。善を行い、自己にめざめる努力を続けている者だ」と答える。
チベット人の精神的支柱となっている自らの存在を"水面に写る月の影"と表現。
この場面は本当に良い。

宗教というより政治色が強く、ハッピーエンドとは程遠い物語にもかかわらず、観終わったあと、何ともいえない穏やかな気持ちになるのは何故だろう?チベット人の演技を超えた表情、チベット音楽のエッセンスを程よく取り入れたフィリップ・グラスの音楽...非暴力を貫き、慈愛に満ちているダライ・ラマの精神が映像からにじみ出ているからか。映画全体に漂う感覚に酔いしれる。これこそ言葉では言い尽くせぬ映画の醍醐味だ。

『クンドぅン』は、映画が物語や理屈ではなく、あくまで映像や音響で人々の心に何かを感じさせるものであることを再認識させてくれる作品。名匠マーティン・スコセッシ監督の最高傑作である。
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2017.02.09 Thursday | 20:25 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

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