映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
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艶華-Enka- 〜中森明菜の新たな挑戦〜

艶華-Enka中森明菜といえば、松田聖子と並んで80年代を代表する大スターです。聖子から2年遅れの1982年、来生たかお作曲の『スローモーション』でデビュー、2作目の『少女A』の大ヒットで人気を不動のものにしました。その後、『セカンド・ラブ』『1/2の神話』『トワイライト ―夕暮れ便り―』『禁区』とバラードと悪いお姉ちゃんソング(笑)を交互に発表するという戦略で聖子や同じ82年デビュー組の、小泉今日子堀ちえみ石川秀美松本伊代早見優らとは一線をきす独特の存在感を示しました。また、異国的な要素を盛り込んだ曲を多く発表するようになり、1985年『ミ・アモーレ』、1986年に『DESIRE ―情熱―』で2年連続日本レコード大賞を受賞。(当時のレコ大は少なくても今よりは権威がありました)。名実ともに歌謡界のトップに君臨しました。

僕は、この"聖子・明菜世代"に属する人間です。当時は聖子派、明菜派に分かれていたなんて記事をよく目にしますが個人的には実感なし。そんなことクラスで話題になってなかった。○年たった今でも聖子VS明菜という文字をよく目にしますが、あまりにも対照的な個性をもつ2人。比較するのは意味がないような気がします。どちらも好きという人も多いのではないでしょうか?ただ、音楽界とは面白いものでビートルズローリング・ストーンズ松任谷由実中島みゆきなどほぼ同時代に正反対の個性をもつアーティストが登場する傾向があります。聖子、明菜もお互いの存在が刺激となり、それぞれの個性をより一層引き立てるのに役立っていたのではないかと思ったりします。ちなみに僕は聖子派でした。顔と歌声が好きで。でも聖子ファンだからって明菜が嫌いだったわけではありません。音楽的にはむしろ明菜のほうが好きでした。聖子チャンの歌は甘っとろすぎてねぇ。男子が聞いて喜ぶタイプの歌じゃありません。

とはいうものの明菜のアルバムはほとんど聞きませんでした。でも、ボーカルをひとつの楽器と割り切ったような、こだわり感あふれる『不思議』、全曲英語詞の『Cross My Palm』はよかったですね。『Cross My Palm』の中ではヒット曲『BLONDE』の英語バージョン『THE LOOK THAT KILLS』やCMに使われた『MODERN WOMAN』が特にお気に入りでした。とくに『THE LOOK THAT KILLS』のばりばりのファルセット歌唱はよかったですね。『Blonde』よりはるかにいい。こっちをシングルにすればよかったのに。また、休業後に発表した『UNBALANCE+BALANCE』も好きなアルバム。有線放送でヒットしカラオケでもよく歌われた小室哲哉作曲の『愛撫』も収録されています。このアルバムは「こういうタイプの曲は明菜ならこんな歌い方をするだろう!」という予想をとことん裏切ってやろう、というコンセプトで製作されたそうです。1曲につき最低3パターンの歌い方を用意してレコーディングにのぞんだとか。でも歌い方を変えることで変な曲にしてしまっては意味がない。タイトルはこんなコンセプトのもとでからつけられているみたいですね。『愛撫』もいつもの明菜パターンならもっとばりばりにビブラートを利かせウォ〜〜〜〜〜って感じで歌ったかもしれませんね。何だ、このボキャ貧な表現は。
ちなみに『愛撫』の作詞は、松田聖子全盛期の大半の詞を手がけた松本隆。また小室哲哉も聖子の『Strawberry Time』というアルバムの中に『Kimono Beat』という曲を提供済です。同じ作家でも歌手によってこんなに曲が違う。2人の個性の違いがそのまま出ていて、なかなか興味深いです。



中森明菜というと、どうしても全盛期のヒット曲が頭に浮かびますが、それ以降でも『月華』『MOONLIGHT SHADOW-月に吠えろ』『帰省 〜Never Forget〜』などは好きな曲ですね。
月華」はうなりまくりでこれぞ中森明菜!オリエンタルな雰囲気漂う楽曲です。タイトルもいいですね。僕は明菜の歌声には沈み行く月のイメージを感じています。

"華のない女でなどいたくない"

月がかげりゆく暗闇の中、そこからもれる光は見過ごすことができない華やかさを散りばめる。まさに明菜のイメージです。ただしこの曲カラオケで明菜のように歌おうとすると間違いなく窒息します(笑)。『MOONLIGHT SHADOW-月に吠えろ-』は小室哲哉のまさに全盛期に書き下ろされた曲。当時、小室作品なら何でもヒットしていたにもかかわらず、オリコン最高14位、11.2万枚の売り上げに終わり、周囲の期待を大きく裏切る結果に。小室が明菜の世界に合わせて曲をつくりすぎたのが災いしたためといわれましたが...。いい曲なんですけどね。間奏がかっちょいいです。でも高音をはりあげるような曲ばかりがヒットしていた頃でしたからね。明菜のように低音の魅力で勝負している歌手にはやや分が悪かった。

そして『帰省 〜Never Forget〜
この曲はライブで聴きました。CDよりはるかによかった。「この歌は自分の中でも一番といってもいいくらい好きな曲なのですが、とても難しいため、TVでは一度も歌ったことがありません。でもいい曲を伝えていくのが私の役割だと思いますので...」と語ったあと、ラストで歌われました。いや〜、大絶唱という言葉はこういう瞬間に使うんでしょうね。歌っている明菜の姿は本当に苦しそうでした。TVで歌わないのは、難しいからというより苦しそうに歌う姿をTV画面で映し出されたくないから、ではないでしょうか?楽曲のよさというより彼女とその歌声から醸し出される気迫と魔力にひたすら圧倒されました。恐るべし!中森明菜の底力。この1曲だけでもコンサートチケットをとった価値があったと言い切れるほどです。明菜のコンサートには2度いったことがありますが、『帰省 〜Never Forget〜』を歌ってくれるのならまた行きたいですね。話はそれますが『ミ・アモーレ』のラスト、アモーレーー♪を3回繰り返すパートは明菜さんにとって恐怖のパートとか。コンサートでもこの歌を歌ったあと、あ、うまく歌えた、ちゃんと声が出た!と子供のように喜んでました(笑)

 「帰省 〜Never Forget〜」は彼女のために書き下ろされたのではなく、オリジナルは鈴康寛。それがどういうツテかで明菜の目にとまり歌うことになったらしいです。ずっとオリジナルを聞きたいと思っていましたが...見つけました!詩はかなり変更されたようですがこっちもすごくいい!
帰省〜 鈴康寛 2010 ライブ弾き語り

★ 歌姫」3部作

・「歌姫」

最近は歌姫とかディーヴァとかいう言葉があまりにも安易に使われすぎているような気がします。コイツは違うだろと思うヤツに簡単に歌姫の冠が与えられている。派手に売れていれば誰でもディーヴァかい?中森明菜が、歌姫の名にふさわしい、数少ない歌手のひとりであることは疑いようがありません。

さて中森明菜のカバー曲シリーズ第1弾『歌姫』は1994年3月24日に発売になりました。これは主に自分が子供時代に聞いた歌の中から明菜自身が選曲したようです。全編ウィスパーヴォイスのボーカル。最初聞いたときは「何だこれは?中森明菜はここまで声が出なくなったのか」と唖然としました。

明菜についてはバラードが絶品だと称するヒトも結構多いですが、僕はむしろアップテンポの曲のほうが実力を発揮しており、バラードはやや苦手な歌手であると思っています。別に"げらっ、げらっ、げらっ、げらっ、ばあーりーはーーーー"のイメージだけで語ってるわけではありませんよ(笑)

代表曲といわれている『セカンド・ラブ』や『難破船』でも正直言うと歌い方がしっくりこない部分がある。明菜が『難破船』でレコード大賞を逃したのは、歌い方に疑問を呈するヒョーロンカ先生が多数いたためとも言われています。受賞すると3年連続になってしまうためハードルが高くなってしまったというのもあるでしょうが...。また竹内まりやが明菜のために書き下ろした『』の歌唱を、山下達郎がまりやのベスト版『Impressions』のライナーノーツの中で「ひどい解釈だ」と酷評したのはあまりに有名な話。明菜は自分の中に確固たる歌唱スタイルがあるため、今でも『駅』はあの歌い方で通しているようですけどね。歌詞の「私だけ 愛してたことを」の部分、まりやが歌うと"彼は私だけを愛してくれていた"と聞こえるが明菜バージョンだと"私だけが一方的に彼を愛していた"と聞こえる!恐るべき中森明菜のネガティブ・パワーなんていう人もいるようですが、曲の受け取り方は人それぞれ。別にいいじゃないですか?明菜のボーカルに強烈な色がある証で、別に非難されることではない。 ※ 私だけ愛してくれていた、が正解みたいです。「駅」デモテープにあった幻のフレーズ

ただ、明菜の個性と楽曲が見事に重なりあったときは、文字通り他の追随を全く許さない説得力をもつ。歌唱出来の揺れ幅が大きいところが明菜の大きな特徴です。本人もそのことを自覚しているようで、「自分は不器用な歌手。でもそれが魅力でもあると思っている」と語っています。まあ、明菜さんは自分に厳しい歌手ですから、その言葉をそのまま受け取るのもどうかと思いますが...。この歌姫シリーズは千住明氏のオーケストラアレンジの元で歌われています。そのため今までのような歌い方ではオーケストラが奏でる音とかみ合わなくなるのは確かです。明菜はこのシリーズで自分のボーカルを目立たせるよりもオーケストラの伴奏に歌声を溶けこませることを選んだとも言えるでしょう。

このアルバムにはまさに明菜のボーカルの個性にどんぴしゃりとはまった曲が2つあります。
1曲目は6曲目の『終着駅』オリジナルは奥村チヨ。1971年12月20日に発売され、オリコン最高3位、37.8万枚のヒットになった曲です。明菜のぼそぼそっとした歌い方は歌詞が聞き取りづらいため、聞いていて歌の情景がまるで浮かんでこないことがあるのですが、この『終着駅』では歌いだしだけでちゃんと"落ち葉の舞い散る停車場"の光景がしっかり目に浮かびます。明菜のウィスパーボイスは冷たく吹きすさぶ風を感じさせてくれます。そして圧巻はラストの『私は風』オリジナルは,カルメン・マキ&OZです。この曲での明菜の歌唱は、このアルバムというより明菜の全作品の中でも5本の指に入る名唱ではないでしょうか?僕はオリジナルは聞いたことがありません。カラオケで歌ったことが何回があるだけで。<おいおい(笑)明菜バージョンがカラオケにないもので...。カラオケのアレンジで聴く限り(ひどい評だ....)どうもオリジナルは当時としてはかなり斬新なアレンジがなされていたようです。カラオケのチープなアレンジをもってしても「おお、かっちょええ」と思いましたから(笑)。明菜バージョンはいかにもオーケストラをバックに歌い上げました!!!って感じのかなりオーソドックスなアプローチ。それでもラストのクライマックス「私は風よ〜」から後の悲痛な叫びのようなボーカルはもう鳥肌ものです。いや〜、これ本当にいいですよ。ぜひぜひご一聴を!最初聞いたときは?でしたが聴けば聴くほど味が出るスルメアルバム。明菜の歌姫シリーズ3作中このアルバムが最高傑作だと思います。



・ZERO album−歌姫2

2002年3月20日にリリースされたカバーアルバム第2弾。「自分が歌いたい歌というよりは歌い継がれるべき歌」ということで選曲されたようです。カバーブームの火付け役になったといわれているアルバムです。松田聖子の『瑠璃色の地球』をカバーしたことが話題となりました。明菜はあまり乗り気でなかったというウワサもありますが...。『異邦人』『桃色吐息』『シングル・アゲイン』『別れの予感』...なかなか派手な選曲です。前作のような明菜個人の思い入れが感じられないため、全体的に歌声がそっけない。歌姫シリーズ中一番売れた当作が一番出来がよくないという皮肉な結果になってしまいました。それでもドンピシャ曲はありました!発売当時、ヒット中だったEGO-WRAPPIN’の『色彩のブルース』オリジナルは歌謡曲とjazzが程よく中和したような粋な曲。実はこの曲、僕のカラオケの18番なんです!そんなことどーでもいいですね(笑)。明菜バージョンはがらりとイメージを一新しjazzテイストを残しつつもムード歌謡に近い作り。でもこれがまたいいんだな。このアルバム中、唯一明菜のオリジナリティを強く打ち出している曲でもあります。また、山口百恵さんの『秋桜(コスモス)』も収録されています。『歌姫』には『愛染橋』、『歌姫ベスト 25th Anniversary Selection-』のために新録音された『いい日旅立ち』といい、声質が似ているせいか、山口百恵さんの曲との相性はいいですね。百恵さんも明菜の曲をよくカラオケで歌っているというウワサも聞いたことがあります。



・歌姫3 〜終幕〜

前作のヒットに気をよくしてわずか1年9ヶ月で第3弾が2003年12月3日に発売されました。ラスト、内藤やす子の『no more encore』を除く曲は男性シンガーの曲。テーマは「ダンディズム」らしいですが、そうとは言えない内容の曲ばかりが立ち並びます(笑)石原裕次郎の『夜霧よ今夜もありがとう』や内山田洋とクール・ファイブの『東京砂漠』など『艶華-Enka-』の伏線といえそうな楽曲も収録されています。なぜ今さら、井上陽水の『傘がない』をカバーするのか理解できかねるし(僕は残念ながらリアルタイムではないのですが、この曲はあの時代だから説得力があったわけでスタンダード性のある歌とは思えない)南佳孝の『スローなブギにしてくれ』は出たしにはしびれたもののその後がちょっとパンチ不足。もっとドスを聞かせてもよかったのでは?できるでしょ、明菜なら。ドンピシャとまではいかなくても秀逸な出来の曲は2曲。まずは松山千春の大ヒット曲『』。薄暗い部屋の窓から曇り空を眺める光景が浮かんできます。松山千春バージョンはもちろん自己陶酔大熱唱なのですが、明菜バージョンは"君だけは誰にもわたしたくない"と歌われてもすぐ横恋慕されそうな頼りなさです(笑)。松山千春の元歌よりも、同名異曲の谷山浩子の名曲『窓』の世界を彷彿させる歌い方でした。

もう1曲は3曲めに収録されている『踊り子』。村下孝蔵が『初恋』の大ヒットの後で出したシングル曲です。村下孝蔵は1999年6月20日、コンサートのリハーサル中に脳内出血で倒れ、4日後の24日に逝去。46歳という若さでした。村下孝蔵は中森明菜の大ファンで、スマッシュヒットとなったシングル『少女』は中森明菜をイメージしているといわれています。また1991年3月21日『アキナ』というそのものずばりのタイトルの応援歌をシングルとして発表しています。明菜が自殺未遂事件の後遺症から立ち直ろうと努力していた時期ですね。明菜は村下孝蔵はが亡くなった後ではじめてそのことを知り、「もう胸が張り裂けそうになって涙止まらなくなった」そうです。そこでこのアルバム製作にあたって、この人の歌を歌いたいと唯一リクエストしたのが村下孝蔵の曲。さすがに『アキナ』は自分では歌えないので『踊り子』を歌うことになったとか。そのせいか、感情移入が他の曲とは断然違うんですね。何かが乗り移ったかのような歌い方をしています。中森明菜ってそういうのが歌にはっきり表れるタイプ。ファンにとってはその人間くささがたまらない魅力なのでしょう。男性キーの歌のほうが歌いやすいのか、ボーカルは安定しており歌姫シリーズ中もっとも聞きやすい作品です。



艶華-Enka-

あまりに長すぎる前置きを終え、ようやく『艶華-Enka-』の話に入ります。ここまで我慢して読んでくれる人がはたしているのでしょうか(笑)

この作品の企画を聞いたとき、あれ、カバーシリーズはもう終わったんじゃなかったの?かつ演歌といっても、歌姫シリーズでも演歌っぽい曲、何曲もあるしな...。この企画本当に本人やりたいのかな?と疑問を感じつつも、石川さゆりの『天城越え』や坂本冬美の『夜桜お七』を明菜がどんな歌い方をするかに興味があったので聴きました。選曲はファンの投票結果をもとに行われました。20位内には入りませんでしたが、最近ワイドショーをにぎわした森進一の『おふくろさん』もかなり投票数を集め、収録候補にあがったそうですが、さすがにアルバムのトーンを乱しかねないのと、ただ話題性を追うということに抵抗を感じたのか最終的な選曲からもれました。やはり原曲のイメージが強烈なので、はじめて聴いたときはかなり物足りなさを感じました。耳につくのはやや大げさなアレンジばかり。どこかお洒落な和食レストランでBGMとして流すのが最適な作品だな、気に入った曲を繰り返し聴くというタイプのアルバムじゃないな...。でも2回、3回と聴いていくうちにオリジナルの背後霊は消えうせ(笑)、中森明菜の歌として響いてきました。ここが自分の世界をしっかりもつ歌手の強みなんでしょうね。こぶしをまわしたりせず、いつもの明菜の歌い方のままで臨んでいます。中森明菜が歌う以上「演歌」ではなくあくまで「艶華」である。強いこだわりを感じます。『悲しい酒』なんかは完全に別の曲。美空ひばりさんの歌だと、小さな居酒屋のすみでひとり日本酒をちびちび飲んでいる、まさに胸がしみつけられるような光景を思い浮かべるのですが、明菜の歌だと水槽に熱帯魚が泳いでいるようなお洒落なバーでウイスキーでも飲んでるように聞こえるから不思議です。セリフもちゃんと言っているんですが例によってぼそぼそっと語るので何となく聞き流してしまいそうです。(笑)エメラルドの海の底に少しずつ沈んでいくようなイメージですね。この曲は美空ひばりではなく、伍代夏子のカバーのカバーという触れ込みです。生前、美空ひばりは自分の曲を他人が歌うのを許さなかったといわれています。矢沢永吉も同じような姿勢をとっていたのですが、最近『チャイナタウン』を明菜が歌うことを許可したことが話題になりましたね。

森昌子の『越冬つばめ』は予想通り明菜が歌ってもしっくりきてました。八代亜紀の『舟歌』は明菜なりのエレジーを感じました(笑)。香西かおりの『無言坂』はアレンジのせいもあるのでしょうが、言葉をそっと置くような今までの中森明菜では聴いたことがないタイプの歌い方になっています。
アレンジはいかにもオーケストラ!といった控えめでゆったりとした歌姫シリーズ3作よりモダンな仕上がりになっています。楽曲の力と明菜の声の魅力に挑戦を挑んでいるような、主張する音!といった感すらあります。ラストの『夜桜お七』、派手な始まり方にびっくりしましたが、この攻撃的なアレンジのもと、明菜は「艶華」の名にふさわしい艶のある歌声を聞かせてくれます。は〜なふ〜ぶきーの「は〜」がとても色っぽいです。ちなみに『夜桜お七』も僕のカラオケの18番。上司といっしょの酒席で演歌を歌うことを半強制されたときよく歌いました(笑)このアレンジなら自主的に歌ってみたい気もします。こんなんばっかりですね。カラオケねたはもういいって?はい、わかりましたm(_ _)m

オリジナルの演歌独特の世界と、オーケストラによる荘厳なアレンジ、中森明菜の声の表情、その3つが奇妙にブレンドし、独特の艶華の世界を築き上げています。中森明菜が演歌にチャレンジしました!というよりは、外国から見たお洒落なジャパネスクを3歩くらい中に踏み込んだといった印象。有線放送や居酒屋、パチンコ店で流れると違和感があるでしょう。アルバム全体を抵抗無く聴けるように曲のつなぎにもかなり神経をつかっています。中森明菜のカバーアルバム中、もっともBGM向きのアルバムです。アルバムを通して聴くのが一番心地よい。何度聴いてもこ綺麗な和食レストランでやや小さなめの音で流れているBGMという印象は変わらないですね。ただ聞けば聞くほど明菜の声が色を帯びて迫ってくる。演歌ではなく、あくまでほのかな香りを漂わす艶華。もう少し聞き込めば、また違った表情を感じ取ることができそうな気がします。

中森明菜なら、演歌だけでなくシャンソン、ジャズやボサノバなどのカバーでもちゃんと自分の世界を構築できるでしょう。でもかつて、歌だけでなく衣装や振り付けなどトータル的なセンスのよさを最大のセールスポイントにしていた明菜。かっこいい大人の女のオリジナルアルバムが聞きたいな、と思うのは僕だけでしょうか?明菜的センスは今の時代感覚とはそぐわないかもしれません。でも時代の気分に合う、会わないなんてちゃちな壁など明菜なら簡単にぶちこわせるはず。中森明菜はそれだけの底力をもった歌手であり、今回の『艶華』も時代を超え、ジャンルを超えて中森明菜の世界を息づかせるための挑戦のひとつであるはずだから。

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中森明菜 - 艶華 -Enka-





 2010.10.29追記
10/28 中森明菜さんが過労・疲労の蓄積による免疫力の低下により、当面の芸能活動を無期限休止することが公式サイトから発表されました。明菜さん、じっくりと静養してください。またあの歌声が聴ける日がくることをひたすら待ち続けます。

2007.07.02 Monday | 01:12 | 音楽 | comments(2) | trackbacks(0) |

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2017.04.17 Monday | 01:12 | - | - | - |

コメント

中森明菜の新境地を開いたアルバム。
新しい地平に向かっていく
明菜を応援したい。
2007/08/04 6:35 AM by keirinman
keirinmanさん、はじめまして

このアルバム、アレンジと明菜さんのボーカルのブレンド具合が微妙でスルメCDとなりつつあります。
今までのカバー集で一番いいかもです。
でもやっぱり"これぞ中森明菜"というバリバリのオリジナルが聞きたいですね。
ある程度名の売れた歌手であれば、下手にオリジナルだすよりカバー出したほうが
話題になって売れるという、今の厳しい音楽状況もあるでしょうけど。
2007/08/04 9:28 PM by moviepad

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