映画のメモ帳+α

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ラリー・フリント

ラリー・フリント(1996 アメリカ)

ラリー・フリント(1996)原題   THE PEOPLE VS. LARRY FLYNT
監督   ミロス・フォアマン
脚本   スコット・アレクサンダー ラリー・カラゼウスキー
撮影   フィリップ・ルースロ
音楽   トーマス・ニューマン
出演   ウディ・ハレルソン コートニー・ラヴ エドワード・ノートン
      ブレット・ハレルソン ドナ・ハノーヴァー ジェームズ・クロムウェル
      クリスピン・グローヴァー ヴィンセント・スキャヴェリ マイルズ・チャピン

第69回(1996年)アカデミー賞監督、主演男優賞(ウディ・ハレルソン)ノミネート。第47回(1997年)ベルリン国際映画祭金熊賞

ラリー・フリント』は1972年、性器を露出した過激な女性ヌードを掲載したポルノ雑誌「ハスラー」を創刊したラリー・フリントを描いた映画。作品情報を聞いたときからずっと愉しみにしていた。原作となるラリー・フリント本人の自叙伝(無茶苦茶面白い!)を半分ほど読んだ段階で劇場に見に行った記憶がある。監督は名匠ミロス・フォアマン。ウディ・ハレルソン、コートニー・ラヴの強烈な存在感もあり、"表現の自由"を問い、偽善を暴き立てる、見応えあふれる作品に仕上がっていた。



ラリー・フリントは少年時代のエピソードだけでも十分映画にできるほど面白く、波乱にとんだもの。
だが、映画では、酒の密売をしており、彼の父親が"商売道具"を飲み続けるのを見て、父親にビール瓶を投げつける場面に集約してしまっている。海軍で猛烈に勉強し、優秀な成績を収めたこと、無学と語彙のなさにコンプレックスを持ち、むさぼるように本を読んだことなど、彼の努力家の一面も描いてほしかった気がするが、まあそれじゃあ、面白くないからでしょうね。

ラリー・フリント(ウディ・ハレルソン)は、ポルノ雑誌「ハスラー」を創刊。創刊号は返品の山だったものの、ケネディ大統領夫人ジャクリーン・K・オナシスの全裸写真をスクープした号は200万部を売り上げ、ラリーは大金持ちとなる。そして4年前に知り合ったクラブ・ダンサー、アリシア(コートニー・ラヴ)と結婚する。

「ハスラー」は性器をもろに露出させた過激な雑誌だったため、ラリーは猥褻罪および組織犯罪で逮捕される。
裁判に出廷する際、何者かに狙撃され(白人と黒人が行為に及ぶグラビアに怒り狂ったKKKのジョゼフ・フランクリンによるものとされている。)その後、ラリーとアリシアはドラッグに溺れるようになる。

やがてラリーは仕事に復帰する。
このとき、ラリーは車いすに乗って現われ、「変態が戻ったぞ」と叫ぶ。
その後、受付係に社内放送でそれを言わせる。
受付のお姉ちゃんが戸惑った表情で「変態が戻りました。変態が戻りました」と事務的にアナウンス!
The People vs. Larry Flynt (5/8) Movie CLIP - The Pervert is Back!

あとラリーが「変態に優しい街に写ろう」といったあと、映し出されたのはコレ↓笑った。
HOLLYWOOD

FBIのおとり捜査が収められたビデオ(デロリアン・モーター・カンパニーの社長ジョン・デロリアンとFBIのコカイン取り引き現場を映した)を入手した彼は、CBSに売りこむ。ビデオの出所を明らかにするよう求められたラリーはこれを拒否し、法廷で暴言をブチまけた挙げ句、精神科刑務所に収容を命じられる。また、『ハスター』で、著名な伝導士フォルウェル(リチャード・ポール)が母親が近親相姦していたとパロディ広告を出したため、告訴されてしまう。ラリーの"表現の自由"をめぐる戦いが始まる。

法廷場面は面白い。ラリー・フリント本人もカメオ出演しています。
LARRY FLYNT CAMEO

防弾チョッキにヘルメットをかぶって出廷。陪審員にオレンジを投げつける。「名前は?」と聞かれたら、「キリスト」と答え、Tシャツには"FUCK THIS COURT"の文字。星条旗のオモツをはき、罰金を命じられると、その場で売春婦を呼び寄せ、1ドル札を法廷にばらまく。これがすべて事実だからすごい!The People vs. Larry Flynt (6/8) Movie CLIP - A Dream Client

この映画全体を貫くものは"偽善との闘い"だろう。
プレイボーイ誌をめくりながら"完璧なマティーニの作り方"なんて誰が読むんだ。この雑誌は読者をだましている"と語る。
伝道師をパロディにし、普通なら示談ですませる内容をあえて最高裁までもっていってしまう。
偽善的なものを憎む信念が感じられる。

本作に登場する、"世の良識者代表"のように登場する大物投資家キーティングジェームズ・クロムウェル)はその後、詐欺横領罪(有価証券スキャンダル)で逮捕されている。高齢者からだまし取った億単位の金は愛人の豊胸手術代に充てられていたのだ。

このラリー・フリントという男の人生、そしてポルノ発行人が表現の自由で勝利してしまうところなど(いい意味で)いかにもアメリカ。
"器の大きさ"を感じさせてくれる。

だが、本作公開時、"アンチポルノ"派が映画を批判。映画の興行成績、およびアカデミー賞ノミネートにまで影響を与えてしまった。ゴールデン・グローブ賞では監督賞、脚本賞を受賞しているのに、アカデミー賞では脚本賞にノミネートすらされなかった。ノミネート有力と言われていたコートニー・ラヴもスキャンダルなイメージが災いし、ノミネートを逃した。ドラッグ、バイセクシャル、ストリッパーまがいの過去など役との共通点も多く、"コートニー・ラヴは自分自身を演じているだけ"と揶揄されたりもした。アンチポルノ派が叩かれている映画で、アンチポルノ派がその映画を叩く。いやはや...。

この映画は愛の映画でもあるし、表現の自由を問う映画でもある。偽善との闘いの映画でもあるが、やはりラリー・フリントという強烈な個性を持った男の生きざまが一番印象に残る。
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2016.05.30 Monday | 00:09 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

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