映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
ゾンビ、スタートレック、ヒッチコック監督作、ドキュメンタリー映画のカテゴリーもあり。
映画300字レビュー、はじめました。
※TB、コメントともに承認制とさせていただいております

<< 市民ケーン | TOP | 駅馬車(1939) >>

オズの魔法使

オズの魔法使(1939 アメリカ)

オズの魔法使(1939)原題   THE WIZARD OF OZ
監督   ヴィクター・フレミング
原作   ライマン・フランク・ボーム
脚本   ノエル・ラングレー フローレンス・ライアソン エドガー・アラン・ウールフ
色彩監督 ナタリー・カルムス
撮影   ハロルド・ロッソン
作詞   E・Y・ハーバーグ
作曲   ハロルド・アーレン
音楽   ハーバート・ストサート
出演   ジュディ・ガーランド バート・ラー
      ジャック・ヘイリー レイ・ボルジャー ビリー・バーク
      マーガレット・ハミルトン チャーリー・グレープウィン

第12回(1939年)アカデミー賞作曲、歌曲("Over the Rainbow")、特別賞(ジュディ・ガーランド)受賞。作品、撮影賞(カラー)、室内装置、特殊効果賞ノミネート。

オズの魔法使』はライマン・フランク・ボームが1900年に発表したベストセラー『オズの魔法使い』の映画化作品。原作は既に1903年にブロードウェイでミュージカル化されているが音楽は全く異なっているので、舞台ではなく原作の映画化といえる。公開当時、批評も良好で大ヒットしたが、製作費も莫大だったため赤字。1954年、アメリカでリバイバル上映されたさい、主演ジュディ・ガーランドの薬物スキャンダルの最中だったため、大コケ。(実は日本で初公開されたのもこの時期)。歌曲"虹の彼方へ(Over the Rainbow)"がスタンダードナンバーとして定着したこともあり、時間がたつにつれて名作としての評価が高まった感のある作品。AFIが2006年に発表したミュージカル映画ランキングで『雨に唄えば』、『ウェストサイド物語』に続いて3位にランクされている。



ミュージカル映画を大ざっぱにわけると3つのパターンにわけられる。

・『ブロードウェイ・メロディー』(1929)をきっかけとした、バックステージ物の粗製乱造時代。(ミュージカルの石器時代、と言われる)
・フレッド・アステア、ジーン・ケリーらスター俳優の歌と踊りを全面に押し出した全盛期。
物語は男女の他愛ない恋愛にとどめてある。
・『ウェストサイド物語』をきっかけに(正確には『ショウ・ボート』(1936)があったのだが)、時には社会性もまじえ、スターをピックアップするというよりドラマを重視。(現在も基本路線はこれ。よってロバート・ワイズがミュージカル映画をつまらなくした、という説あり。かなり同意)

『オズの魔法使』は上3つのどれにもあてはまらない。
よって、ミュージカル映画のなかでは異質な作品といえる。
しいて言えば2番目だろうが、ダンスはほとんどなく、歌も作品の中にとけこむような形、言い換えれば映画から独立して聴けるタイプの曲ではない。この映画、サントラだけ聞いても面白くないでしょうね。もちろん"Over the Rainbow"は除きます。

また、子供を主役に据えたファンタジー風味のミュージカル映画、実写ではほとんどない。
その手のジャンルはディズニーアニメの定番だから。
本作が公開された1939年は、ディズニー初の長編アニメ『白雪姫』(1937)が公開されてまだ日が浅い。
だから実写でファンタジー・ミュージカル映画をつくれたのでしょう。

というわけで、『オズの魔法使』ってミュージカル映画の王道のようにみえて実は例外に近い作品。
言いたかったのはこれだけです(笑)。

さて、本題に入ります。

物語は実にシンプル。

少女ドロシー(ジュディ・ガーランド)はカンザスの農場での生活に物足りなさを感じ
虹の向こうには「虹の彼方に("Over The Rainbow"」よりよい場所があると夢見ていた。
そんな最中、竜巻が起こり気絶。愛犬トドとともに虹を超えたオズの国に迷い込む夢をみる。
そこで良い魔女グリンダ(ビリー・バーク)に出会い、マンチキン人が呼び寄せられる("Come Out, Come Out...")
ドロシーの家が落ちて、東の悪い魔女は死んだと教えられる("Ding-Dong! The Witch Is Dead")
だが、東の魔女の妹、西の悪い魔女(マーガレット・ハミルトン)が姿を表し、姉の形見のルビーの靴を取り戻そうとするが
その靴はいつのまにかドロシーが履いていた。ドロシーは家に帰りたがるが
そのためには遠くエメラルド・シティに住むオズの魔法使いの力を借りることが必要。
グリンダはドロシーに西の魔女の復讐が及ぶのを心配するが
ドロシーは黄色いレンガの道をたどって("Follow The Yellow Brick Road")
オズの魔法使いに会いに行く("You're Off To See The Wizard")ことにする。
旅先で"もしも脳みそがあったなら("If I Only Had A Brain")と嘆くカカシ(レイ・ボルジャー)
"もしも心があったなら"("If I Only Had A Heart")と嘆くブリキ男(ジャック・ヘイリー)
"もしも勇気があったなら"("If I Only Had The Nerve")と嘆く臆病者のライオン(バート・ラー)らに出会い
彼らは自分たちの夢をかなえるため、ドロシーに同行する。

一向は、西の魔女の妨害にあいながらも何とかエメラルドシティにたどりつき
4人は変な笑い方をしながら("The Merry Old Land Of Oz")進み
ライオンはもしも森の王様になれたら("If I Were King of the Forest")といきがったりする。

ところが、オズの魔法使い(フランク・モーガン)から"願望をかなえたいのなら西の魔女のホウキが必要と言われ....

それにしても、「脳みそがない」「心がない」「勇気がない」...
まるで人間を強引に3種類にわけた結果みたいだ。
ただ、この3つのキャラクター、それほど魅力的でも面白くもないんだな。
彼らよりも犬のトド君をみてました。
でも時折、"Over the rainbow"がテーマソングのごとくチラっと流れる。
これがサブリミナルのごとく、効いている。

 "虹の彼方へ(Over the Rainbow)"はボツ寸前だった....。
虹の彼方へ」("Over the Rainbow")は2001年に全米レコード協会等の主催で投票により選定された「20世紀の名曲」(Songs of the Century)で1位に輝いたスタンダード中のスタンダード曲。歌手もジャズミュージシャンもこぞってこの曲をとりあげ、これまでに膨大な数の録音が残されている。「20世紀の名曲」2位が「ホワイト・クリスマス」であることをみても、この曲の人気がどれほどのものかよくわかるだろう。

作曲のハロルド・アーレンは車の中でこの曲のメロディと"Somewhere over the Rainbow"というフレーズを思いつき、仕上げたあと、作詞を担当するE・Y・ハーバーグに聞かせた。だが、ハーバーグは「この曲は、ネルソン・エディにならあっているが、カンザスの小娘には大人びすぎている」と乗り気薄。そこでアーレンはアイラ・ガーシュウィンに曲を聞かせたところ、彼は気に入り、ハーバーグに「良い曲だから詞をつけるべき」と説得。ハーバーグがようやく承諾したといういきさつがある。

だが、一難去ってまた一難。
今度は映画会社幹部が「この曲は少女が歌うにふさわしくない」と主張。
試写会での評判も悪かったため、この曲のカットを命じた。
だが、共同プロデューサーをつとめていたアーサー・フリードがこの曲にほれ込み、カットに猛反対したため残された。

"虹の向こう、空高く
昔子守歌で聞いた国がある
虹の向こう 青い空
そこではどんな夢もかなう"

映画でのカラーパート部への見事な導入部となっている。



でも、この曲、結局のところメロディもさることながら
"虹の彼方に"(Over the Rainbow)というフレーズが醸し出すイメージが受け入れられたのだと思う。
そのイメージで作られた映画が愛されるのは当然。
もしもこの曲がカットされていたら...この映画は残らなかったかもしれませんね。

ところで本作の監督ヴィクター・フレミングはこの1939年、『風と共に去りぬ』、『オズの魔法使』という映画史に残る2本の名作を生み出した。客観的にみると偉業なのだが、そういう評価はあまりなされていないように見える。それは当時の映画製作事情によるものが大きい。当時はプロデューサーの鶴の一声によって、製作途中で監督が交代するというのは(大作では)よくあることだったからだ。この『オズの魔法使い』は製作途中でヴィクター・フレミングが(ジョージ・キューカー監督で撮影がすすめられていた)『風と共に去りぬ』の監督を任されてることになった。そのため、『オズの魔法使』の撮影は、名匠キング・ヴィダーが後を引き継いでいる。前半のセピア色パートとラスト、つまりカラーでない箇所はヴィダーの手によるものとされている。よって、名曲"Over the Rainbow"の歌唱場面もキング・ヴィダーが演出しているのであるが、ヴィダーはクレジットすらされていない。ヴィダーは友人であるヴィクター・フレミングに配慮し、1949年彼が急死するまで、自分が『オズの魔法使』に携わったことすら一切公言しなかったという。手柄自慢をしないヴィダー、大人すぎる態度です。それを知って見直すと、確かにヴィダーっぽいよなあ。ちなみに、フレミングは『風と〜』でアカデミー監督賞を受賞した際、あまり嬉しそうでなかったという。クレジットはそうなっていても実際、自分単独の監督作品じゃないからね。フレミングは『オズの魔法使』にも同じような複雑な思いを抱いていたかもしれぬ。

『風と共に去りぬ』もそうなんだけど、『オズの魔法使』は映画としてのクオリティはそこそこなんですね。
大傑作という感じではない。
鮮やかなカラーに彩られ、大作の風格がある。
物語もしっかりしている。ゆえに時間がたつとまた観たくなる。
娯楽映画の理想形なのかもしれません。

『オズの魔法使』はそれに加えて、前半のセピア色パートが明らかに彩りと深みを加えている。
別の映画かと見紛うほど、カラーパートと雰囲気が違う。
そして、最初1回歌われるだけの"虹の彼方へ(Over the Rainbow)"のフレーズとメロディが作品全体として余韻としてしみわたってる。
これぞ、映画の主題歌のあるべき姿!
『オズの魔法使』が名作といわれる所以はここにあるでしょう。
人気blogランキングこの記事が参考になりましたら左のバナーにクリックお願いします!

スポンサーサイト


2017.04.26 Wednesday | 00:09 | - | - | - |

コメント

コメントする









この記事のトラックバックURL

http://moviepad.jugem.jp/trackback/1011

トラックバック

▲top