映画のメモ帳+α

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パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド (2007 アメリカ)

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(2007)原題   PIRATES OF THE CARIBBEAN:AT WORLD'S END
監督   ゴア・ヴァービンスキー   
脚本   テッド・エリオット テリー・ロッシオ     
撮影   ダリウス・ウォルスキー                   
音楽   ハンス・ジマー                
出演   ジョニー・デップ オーランド・ブルーム
      キーラ・ナイトレイ

第80回(2007年)アカデミー賞メイクアップ、視覚効果賞ノミネート

ジョニー・デップ演じるどこかにくめないワル、ジャック・スパロウ(第76回アカデミー賞授賞式で、司会のビリー・クリスタルは"ゲイっぽい海賊を演じたジョニー・デップ"と紹介しました)のキャラクターが大いに受け『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』は全米3億ドル、世界興行収入6億5000万ドルを超え、予想外のメガヒットとなりました。

続いて製作された第2弾『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』は全米4億2000万ドル、世界興行収入10.6億ドルを超え、この記事を書いている2007年5月27日現在で世界興行収入歴代3位の記録となっています。Source

今回、奇しくも同時期に公開され、興行成績でもライバルと目されている『スパイダーマン』『シュレック』シリーズは従来のシリーズものの常道であった"続編を作れば作るほど面白さもクオリティも落ちる"というジンクスをはねのけ1作目より2作目のほうが面白さもクオリティも格段にグレートアップ!一方、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の第2弾は前回大いに受けたジャック・スパロウのキャラクターを強調しすぎで続編にありがちな間のび感は否めませんでした。

アメリカでは、ライバル『スパイダーマン』『シュレック』の第3弾は『パイレーツ・オブ・カリビアン』よりひと足先に公開されました。『スパイダーマン3』はあれやこれや詰め込みすぎ、『シュレック3』は既存のキャラクターによりかかり過ぎで新鮮味に欠ける、というシリーズものにありがちな欠点を指摘され、批評面ではともに3部作中最低の評価となっているようです。日本では1作目が興行収入68億円、2作目は100億円を超え、他2作を頭ひとつリードした感のある『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ。さて3作目はいかに?

〜物語〜
東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)は、"深海の悪霊"デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の心臓を手に入れ,彼とその最強の船フライイング・ダッチマン号を自由に操り、海賊たちを次々と葬り着々と世界制覇の野望を果たそうとしていた。そこで海賊たちは生き残りを賭けて、9人の海賊長からなる評議会を招集する。そのうちのひとりはジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)。ところが彼は愛船ブラック・パール号とともにクラーケンの腹の中に消えてしまい、現在行方不明であった...



シリーズものの製作に当たって、やっぱりファンの声をきちんと反映させているのでしょうか?今回の『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』では前作での欠点?がほとんど軌道修正されています。

まず前作では、主役ジャック・スパロウが登場するまでが長くてひたすら退屈でした。今回は、サオ・フェン(チョウ・ユンファ)の元に、エリザベス(キーラ・ナイトレイ)とバルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)が駆け寄り海賊が一致団結して、東インド会社と戦うことを示唆する場面からはじまります。サオ・フェンはシンガポールを拠点とする中国海賊王で、9人の海賊長のひとりです。でもアジア人ってやっぱりこういう得体の知れないイメージなのでしょうか?『パイレーツ〜』のような大作でこのような描き方をされるたびに複雑な心境になります。

「戦うのよ!」
アヒルぐち全開で叫ぶキーラはとっても可愛い(笑)。ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)も登場するのですが、全然オーラがないですね。

サオ・フェンからジャック・スパロウの居場所である"世界の果て"の海図を手に入れエリザベスやバルボッサ、ウィルが乗る船はまるで氷河や星空のあいだをさまよっているように見え、まさにサブタイトル「ワールド・エンド」のイメージを彷彿させます。そして、"世界の果て"の入り口、あの世への入り口ともいえる荘厳な滝!スパロウ登場までの場面も、圧倒的な映像で十分楽しませてくれます。

前作ではジャック・スパロウのキャラクターを強調しすぎたためかえって面白みが薄くなっていました。今回は、驚くほどジャック・スパロウの登場場面が少ない。それを補うかのように、まるでエディ・マーフィのようにひとり何役(といっても同じジャック・スパロウの顔ですが)で登場する場面が出てきます。ジョニー・ファンにとっては垂涎ものでしょうか?相変わらず、手をひらひらさせ大またで歩く独特の動きは健在です(笑)。でも、主役なのに...。

もっとジャック・スパロウ見せろ!!!

...ファンとは自分勝手なものです(^^;

登場場面を抑えることによって、ジャック・スパロウのキャラクターに観客が飽きるのを防ぎ、かつ次回作への飢餓感を煽る...。ああ、抜け目のないディズニー戦略!!! いやらしいわ(爆)

また、前作ではメインとなっていたスパロウとエリザベス、ウィルの3角関係は意外にも今回ほとんど描かれていません。クライマックスとなるはずのラストでのウィルのプロポーズ場面も東インド会社と戦いながらという色気にかけるものでした。やっぱりこの映画の見どころは、ジャック・スパロウ船長と海賊たち!大半の観客にとって、ラブ・ロマンスの行方なんぞどーでもいいんです。ディズニーさん、それもよくわかっていらしたようで(笑)

キーラ・ナイトレイ演じるエリザベスは今回出演時間がもっとも多く、実質的主役というべき役どころ。一方、オーランド・ブルーム演じるウィルはメイン・キャストとは呼べないほど出番が少ない...。彼よりもカメオ出演のキース・リチャーズのほうがはるかに存在感があった。『パイレーツ...』シリーズ出演が飛躍のきっかけとなった若手2人ですが、知名度はともかく、役者としての評価は大きな差がついてしまいましたね...。長いエンドクレジットの後、最後におまけショットが入りますが、クソみたいな映像で見逃したところで大勢に影響はありません。お時間のない方は別に最後まで座っている必要はないと思はれ。

今作の新たなキーワードは"カリプソ(Calypso)"
ギリシャ神話に登場する、天空の神アトラスの娘である海の精霊の名前。
英雄オデュッセウスと7年間暮らしたことで知られています。
ホメロスの『オデュッセイア』にも森に住む美しい妖精として登場します。ギリシャ語で「洞窟」の意味で、そこから派生して「隠れた女」「秘めた女」の意味をもつようになったとか。さてこのカリプソが物語上どういう意味をもつのか?この映画に登場する女性はエリザベスとジャックの元カノでプードゥの預言者ティア・ダル(ナオミ・ハリス)だけなのですが...。見てからのお楽しみといったところですね!

3部作の最後にふさわしく?、ウィルと父親との関係やらデイヴィ・ジョーンズの運命やらも描写されますが、駆け足でチャチャっとすませたって感じ。前作のように、ディズニー映画らしからぬグロい描写もほとんどありません。お母様方から苦情がきたのでしょうか?(笑)映画史に残る強烈キャラ、ジャック・スパロウの魅力によりかかることもなく、ラブ・ロマンスでお茶を濁すこともない。娯楽の王者ディズニーがその威信をかけて映像の迫力一本、直球勝負で挑んだ作品です。かつ、自信と余裕も感じられます。3部作中、もっともディズニーらしい映画でもあります。

さて『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズはこの3部作で一応完結のはずですが、製作のジェリー・ブラッカイマーは「最近『4』にうってつきの小説の原作権を買い取った」と続編製作を示唆。そして"このヒトが出なければはじまらない"ジョニー・デップも「一生、スパロウを演じたい」と前向きなコメントをしています。キーラ・ナイトレイやオーランド・ブルームはあまり乗り気ではないようですが...。というより、この3作目を見る限り、4作目には彼らの出番はなく、ジャック・スパロウ以外のキャラクターは総入れ替えになりそうな気がします。まして今回、ジャック・スパロウの登場場面が少ない。これで終わり?まだ見たい...。すでに製作サイドの思う壺にはまってしまっているようです(笑)
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参考
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」〜天下無敵のジョニー・デップ〜 
2007.05.27 Sunday | 04:30 | 映画 | comments(4) | - |

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2024.03.19 Tuesday | 04:30 | - | - | - |

コメント

moviepadさん、こんにちは!
私はパイレーツシリーズとジャックをこよなく愛しておりまして・・・ワールド・エンドの公開を心待ちにしていましたが。
あまり面白くなかったです(号泣)
こんなに複雑、煩雑、重苦しい話にするとは思いませんでしたのでちょっとショックを受けました。
主要ストーリーから外れる人物や怪物(ノリントン、エリザベスのパパ、クラーケン君)をササッと排除し、代わりに登場さたカリプソや9人の海賊も中途半端に描かれていましたし・・・
ウィルはあんな事になるし、ジャックはウンパルンパだし・・・
続編作るのでしょうか?止めて欲しいなぁ〜
2007/05/28 8:49 AM by 由香
由香さん、おはようございます!

「スパイダーマン」もそうだったんですが、この手の大人気映画は個人の思い入れによって見方が全然違うんですね。

僕はこの映画の物語には全く関心がないので3作中、一番映像が丁寧に作られていたこの作品に満足しています。前作より短く感じました(実際は20分も長いんですが)
確かにクラーケン...ほとんど存在しなかったような扱いでしたね。
ただ、海賊物語にハッピーエンドはあまり似合わないような気がしなくもありません。

続編はやるでしょう!だってあのジョニーが乗り気なんだし(笑)

2007/05/29 8:05 AM by moviepad
こんばんは!moviepadさん☆
そそ、ラブ・ロマンスの行方なんて
どーでもーし何でもいーからとっとと終わってくれてよかったです!
ジョニーファンなのにこのシリーズには思い入れも何もないので鑑賞する姿勢もいい加減です(汗)
一緒に剣を振り回したい〜!海賊ごっこした〜!って思わせてくれるからストーリーなんてどーでもいいの(笑)
2007/05/29 10:52 PM by こべに
こべにさん、おはようございます!

>ジョニーファンなのにこのシリーズには思い入れも何もないので鑑賞する姿勢もいい加減です(汗)

全く同じです。昔からのジョニー・ファンは意外とそういう人、多いかもしれませんね。

ちなみにこのブログはミニ・シアター系の映画紹介には無駄な情熱をいだくのですが、大作・話題作の紹介は投げやりでいい加減と相場が決まっております。6月はその傾向に拍車がかかる予定です(笑)
2007/05/30 10:17 AM by moviepad

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